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今回は、『貴金属:金』についてご紹介させていただきます(*^^*)
貴金属の中でも金製品で作られた物は目にする機会が多いですよね。
近年ではジュエリー、アクセサリーとしてだけではなく資産価値としても注目されています。
本日そんな金についてお話しさせていただきます。
『名称』元素記号Auは、ラテン語で金を意味する aurum に由来。大和言葉でこがね、くがねとも呼ばれていました。
日本語では、金をかねと読めば通貨・貨幣・金銭と同義、すなわちお金ですね。
金属としての金はおうごんとも呼ばれ、黄金時代は物事の全盛期の比喩表現として使われています。
金属や金物といった単語に金の字が含まれるように、古くから金属全体を代表する物質として見られていました。
『性質』金は単体では金色と呼ばれる光沢のあるオレンジがかった黄色の金属ですが、非常に細かい粒子状にすると黒やルビー色に見える場合があり、時には紫色になることも。
これらの色は金のプラズモン周波数によるもので、主に黄色と赤色を反射して、青色を吸収します。
このため、薄い金箔を光にかざすと、反射と吸収の谷間にあたる緑色に見えます。
化合率が低めですが合金が多く、頻繁に色が変わってしまいます。
『展延性』展性・延性に優れていて、最も薄く延ばすことができる金属です。
1グラムあれば数平方メートルまで広げることができ、長さでは約3000メートルまで延ばすことができます。
平面状に延ばしたものを金箔、金箔を和紙に貼って細く切るなど糸状に装飾しやすくしたものを金糸と呼びます。
華美な衣装を作るために、金糸は綿や絹など一般的な繊維素材と併用されています。
逆に大きな展延性が精密加工時や加工後の製品では、耐久性が悪いという弱点になることも。
『合金』他の金属と同様に合金とすることが容易であり、合金化は金にとっては硬度を上げることができ、他の金属にとっては伸長性が増し、本来の金色以外に変化に富んだ色調の地金とすることができます。
銅との合金は赤く、鉄は緑、アルミニウムは紫、ガリウムやインジウムは青、パラジウムやニッケルは白、ビスマスと銀が混ざった物では黒味を帯びた色調になります。
自然に存在する金には通常10%程度の銀が含まれていて、銀の含有率が20%を超える物はエレクトラム、青金または琥珀金と呼ばれます。
さらに銀の量を増やしていくと、色は次第に銀白色になり、比重はそれにつれて下がります。
『熱伝導、電気伝導、反応性』金は熱伝導、電気伝導ともに優れた性質を持ち、空気では浸食されません。
熱、湿気、酸素、その他ほとんどの化学的腐食に対して非常に強いです。
そのため、貨幣の材料や装飾品として古くから用いられてきました。
『利用の歴史』金は、美しい光沢を含めて有用な性質を多く持ちます。
また精錬の必要がない単体の金そのままで自然界に存在しているので、精錬が必要な鉄などよりも早く人類が利用していた金属とされています。
しかし産出は非常に限られていたため、有史以前から貴重な金属、貴金属として知られていました。
また、そのままでは金として利用できない金鉱石であっても、アマルガム法や灰吹法などの冶金法によって取り出すことができました。
長い年月を経ても変化しない金の性質は神秘性を産み、不老不死との関連としても研究されていました。
占星術においては、中心に点が描かれた円の記号は太陽を表すと同時に金も表し、これは古代エジプトのヒエログリフにも見られます。
このように、金は歴史とともに利用価値の高さゆえの豊かさと富の象徴であり、金そのものや鉱山の所有、採掘の権利などを巡る争奪・紛争が、個人間から国家間の規模に至るまでしばしば引き起こされました。
『日本の金』日本での古代の金製品は福岡県志賀島にて発見された漢委奴国王印などがあります。
古墳時代には奈良県東大寺山古墳出土の中平、銘鉄剣や埼玉県稲荷山古墳出土の辛亥、銘鉄剣など、鉄地に線を彫って金線を埋め込んだ金象嵌がありました。
奈良時代までの日本は金を産出せず、供給は朝鮮半島の新羅や高句麗からの輸入に頼っていました。749年に百済王敬福が奥州、現在の東北地方で砂金の発見を報告し、状況は一変しました。
8世紀後半からは逆に渤海、新羅などへ輸出され、遣唐使の滞在費用として砂金が持ち込まれることで、後の黄金の国のイメージの原型が形作られました。
平安時代後期には奥州を掌握した奥州藤原氏によって、産金による経済力を背景に、平泉が平安京に次ぐ日本第二の都市にまで発展しました。
砂金は平安京や北宋・沿海州などとの貿易に使用されていました。
奥州産の金をふんだんに使用した中尊寺金色堂は、マルコ・ポーロが東方見聞録で 紹介した黄金の国ジパングのモデルになったとされています。
豊臣政権や江戸幕府は金山への支配を強め、金を含有した大判や小判を発行しました。
『世界の金』コロンブスのアメリカ州到達以来、探検家や征服者によって行われたアメリカ原住民からの金の強奪は膨大な量に上りました。
特に中央アメリカや南米大陸のペルー、コロンビアを原産とする物が多です。
それらは金と銅の合金で作られており、スペイン人たちはTumbagaと呼んでいました。
金への欲望を募らせたヨーロッパ人は、金鉱あるいは採掘済みの金があると信じたエル・ドラード(黄金郷)を探し求めて南米奥地に分け入りましたが、現在に至るまで該当する土地は見つかっていないそうです。
大航海時代以降にはこのほか、日本近くにあると信じられた金銀島も探索の対象となりました。
1848年、アメリカ合衆国では、ゴールドラッシュと呼ばれる、金採掘を目的としたカリフォルニア州への大規模移民が起きました。
同様の現象は、現在までにアメリカ国外を含めてしばしば発生しています。
1899年から1901年まで南アフリカで起きたボーア戦争は、イギリスとボーアの鉱山労働者の権利や金の所有権に関する争いと言われています。
『資産価値と金本位制』
歴史上の評価を総括すると、金は最も価値のある金属と考えられてきました。
また純粋、価値、特権階級の象徴としてもとらえられてきました。
これは、金が他の金属と比較して年代を経ても基本的な性質を損なわず、価値を保存する性質に優れていたことが大きな理由でもあります。
したがって、その後発展した多くの通貨制度においても、金は最も上位に位置する基準とされてきました。
ほとんどの国が管理通貨制度に移行した現代でも、多くの中央銀行や政府が、財務的な信用力を確保するため資産の一部を地金として保有しています。
また金の先物取引などは、個人からヘッジファンドなどのトレーダーに至るまで投資の一手段とされています。
さらに資産の一部を金地金や金貨、金装飾品で保有する個人もいます。
2004年11月、ロンドン金価格に連動するETF(上場投資信託)が誕生し、一般投資家が金地金の現物を購入・保管する手間やコストなく投資可能となったことで需要が増大します。
金は安全資産と看做されており、世界経済や国際情勢への不安感が増したり、金利が低下して、金利を生まない金を保有するデメリットが薄れたりすると金価格は上昇する傾向があります。
金の採掘は比較的容易であり、1910年からこれまでに、究極可採埋蔵量のうち75%ほどの金が産出されてきたと考えられています。
地質学的に、地球上にある採掘可能な金の埋蔵量は、一辺が20 mの立方体に収まる程度と考えられています。
『用途』金は前述のような耐食性、導電性、低い電気抵抗などの優れた特性を持つため、20世紀になってからは工業金属として様々な分野で使用されているが金単体では金属加工用途としては軟らかすぎるため、通常は銅や銀、その他の金属と鍛錬されて、合金として用いられてきました。
金とその他の金属の合金は、その見栄えの良さや化学的特性を利用して指輪などの装飾品として、また美術工芸品や宗教用具等の材料として利用されてきました。
さらに貨幣、または貨幣的物品を代替する品物として用いられてます。
『装飾品としての用途』キャスト、プレスを用いた量産タイプの指輪やブローチ、彫金による一品ものなどジュエリーとしての用途が多いです。
金糸は、刺繍に用いられています。
装飾品や美術工芸品、建物など、純金製にすると高額なため、表面だけを金色に仕上げる金箔や金めっき、金を含む塗料も使われています。
金は通常錆びることがなく、アクセサリーとして手入れしやすく、安心して身につけられることも人気の理由となっています。
ただし、一部に金属アレルギーに関する懸念もあります。
純金は軟らかく、そのままでは装飾品として機能しづらいのでほとんどの場合、別の金属を添加した合金を用いて装飾品を作っています。
国内の装飾品ではK18やK14が一般的ですが、欧米ではK9やK8も市場に多いようです。
金を使った装飾品は、特にインドや中華人民共和国で需要が高いようです。
また、日本製の金装飾品は品質が高く、アジアからの観光客に人気があり、現在は貴金属を使わないコスチュームジュエリーなどが伸びてきており、金装飾品の需要を減らしています。
『カラーゴールド』金合金は、割り金の銅、パラジウム等の配合によって様々な色調を示します。
これらを総称してカラーゴールドと呼びます。
カラーゴールドの代表的なものをご紹介させていただきます。
・イエローゴールド
K18の場合、金750%、残りを銀銅等量のものをイエローゴールドと称します。
しかし、銀4 – 6、銅6 – 4の比率の範囲も、イエローゴールドの範疇としています。
一般的に認知されている金色に近いのが特徴です。
・グリーンゴールド
K18の場合、金750%で残りが銀の合金をグリーンゴールドと称します。
日本語では青割り、または青金ともいいます。
ブルーゴールドという呼称もよく利用されています。
・ピンクゴールド
K18の金750%、残りの割り金のうち80%が銅の合金を一般的に、ピンクゴールドと称します。
パラジウムを加えることがあります。
万年筆の装飾などにおいて、他の色とは異なる高級感を演出する際に利用されることが多いです。
色合いは銀に近く、わずかに銅のような赤みを有しています。
・レッドゴールド
K18の金750%、残りの割り金が全て銅の合金です。
銅以外の金属を割金に使う場合もあります。
日本語では赤割り、または赤金と言うことも。
・パープルゴールド
金800%に対してアルミニウム約200%程度の割合の合金で、地金は紫色。
脆いという性質がありましたが近年の加工技術により宝飾品として部分的に利用されています。
・ホワイトゴールド 白色金
ニッケル系とパラジウム系があり、金にそれぞれの元素と、前者は、さらに銅、亜鉛を、後者はさらに銀、銅を加えて、白色化した金合金をホワイトゴールドと称します。K18の場合、ニッケル系、パラジウム系ともそれぞれ50%以上を含まないと、白色度が不足するとされています。
一般社団法人日本ジュエリー協会は色差を用い、ホワイトゴールドの色の範囲を指定しています。
以前は白金の代用品として装飾品に用いられたが、現在はカラーゴールドの一種としての地位を得て、イエローゴールド以上に普及していますね。
このほか、黒味がかったブラック・ゴールドや、柔らかな金茶色のベージュ・ゴールドなどもあります。
『純度』合金の主成分の含有率を純度、または品位ともいいます。
金の品位は、24分率で表される習慣があり、その場合、純金は24金、24カラット (米国:karat、英仏:carat)、あるいは、K24(この語順でも読みは 24 karat)、24K、24kt、24ctと表します。
そして、金の含有率に従い数値を変えます。
例えば、18金は金の含有率が18/24、すなわち750%であることを表し、装飾品に750と刻印されます。
なお、このカラットは宝石の重量を表すカラットとは異なるものです。
『金相場』金相場は日々変動しています。
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